ロクセンチ

セルフライナーノーツ


中原明彦

rabbit songは、rainbow story以降のロクセンチが凝縮されたミニアルバムです。 1年以上断続的にレコーディングしてきた曲たちの中から、特に聴いてもらいたいものを厳選してパッケージしました。うさぎのうた、というとずいぶんファニーなイメージを持たれると思いますが、他方では臆病者の歌であったり、ペースメーカーとしてこれからのロクセンチをひっぱって前を走り跳ぶ曲たち、 という意味でもあったりします 。とはいえ、いずれにしても説明不要のかわいい曲たちです。なので蛇足と知りつつも、それぞれの曲についてちょこちょことお話したいと思います。

このミニアルバムをつくるにあたって、非常に多くの方々の思いをいただきました。 ほんとうに心から感謝致します。
みなさんにこの7匹の子兎を末永くかわいがってもらえることを願って。


山田貴子

今回のレコーディングはとにかく怒涛でした。今までレコーディングが終了した時というのは達成感があるものなのですが、なぜか開放感がありました。やっと眠れる!という幸せ感が…。(笑)内容としてはいままでこつこつ貯めてきた素材を中心に、今年1月から4回に渡ってやって来たマンスリーライブで演奏した新曲達が収録されています。CDにする前にライブでお客さんの反応を肌で感じてからレコーディングに入るというのは私達にとってとても有効的なエッセンスになりました。本当にありがたいことでした。

そしてお客さんだけでなく、今回もたくさんのプレイヤーやエンジニア、スタッフに助けられて制作が進められました。
この場をお借りしてお礼を申し上げます。心から、心からありがとうございました。


全曲ライナーノーツ

rabbit

今回のリリースが決定してからつくった、現時点でもっとも新しい曲です。 メンバーの脱退はもちろん、そのほかいろんなことを経て、最初につくった曲はある意味もっともロクセンチらしい曲となりました。rabbitというタイトルだけを伝えて、山田の発想したピアノのフレーズからメロディーとイメージを肉づけして膨らませていきました。 常にうさぎのモチーフ中心で歌詞は進みました。 以前、うさぎを飼っている友達とその彼女の家に遊びに行ったときのことです。 はじめは3人仲良く飲んで話していたのですが、いつしかふたりが将来のことで激しい言い合いとなってしまい、あまりに真剣な内容に僕はそうそう口を挿むわけにもいかず、もちろんそのうさぎも檻の中でふるえてるだけで、険悪な雰囲気で痴話喧嘩は続き、ついに彼女が泣き出してしまったところで僕は終電の時間となり、そのままなにも2人に言えず、とぼとぼ帰るという非常にやるせない思いをしました。 帰りの電車で、さっき聞いたはずのうさぎの名前が思い出せなくて、でも今メールで聞いたりする雰囲気ではないだろうし、ああもう後は頼むよ兎!と思ったのが、この曲の原体験というかそもそもの出発点になっているような気がします。 そんな情けない経験から発想してできた歌ではありますが、ロクセンチにとってとても大切な曲になりました。(vo.中原)

ロクセンチ楽曲の長男坊にあたる「レイトショーを観にいこう」に続き、珍しく山田ネタ先行で続きを中原さんが作った曲。当初、山田の頭の中では明るく、元気なイメージで作ったものが、中原氏のセンチメンタルな歌詞とメロディーで出来上がりはまさにロクセンチらしく、ポップロックでせつない楽曲に仕上がりました。我がバンドながら「なるほどねー」と妙に納得してしまいました。(pf.山田)



それでも彼女は海へ行く


海に行きたくてどうしようもなくなる日があります。 泳ぐためでもなく、サーフィンをするためでもなく、ただどうしようもなく。 僕の住んでいる街からは決して近くないし、悠々自適な生活を送っているわけでもないので、そうたびたびというわけにはいかないけれど、たとえば眠れなかった次の日の早朝、そのスイッチが入ると、ipodと文庫本だけ持って(ついた海ではそれらも結局ほとんど使わないのだけれど)家を飛び出します。そして海に着くと飽きるまで何時間でも海を眺めます。それはもはや強迫観念にも近い気がして、自分に対して、おい大丈夫か?ともなったりしますが、たいていは海に着いてまもなく自分の衝動に合点がいきます。理由なんてないんです。海を眺めながら、ただぼーっとしたり、たまに考え事したり。あれもこれも全部海は包み込んでくれますが、包みこんで欲しくないときも、それを海は許してくれます。ロマンチックなんだか自傷的なのかよくわからないけれど、まあよくやるよ、と自分につっこみつつ、それでもきれいな夕日に出会えたときなんかは言葉を失います。で、お腹がすいてきてなんだかばかばかしくなったら帰ります。 この歌の主人公の女性も、失恋の痛みを癒したいからではなく、思い出の場所に浸りたいからでもなく、ましてや自分を悲しませたいからでもなく、ただ海へ行きます。どうしようもなく。 だって、海に行くのに理由なんていらないと思うんです。(vo.中原)

思い立ったその時に彼女は海へ向かうのです。この衝動的な疾走感を出すことに集中してフレーズを作りました。彼女の心が動揺して不安定で、でも止まっていられない感じ、逸る気持ちの後にそれを包むような海の大きなリズムで構成されたイントロや間奏は歌詞の無いところでも主人公の心情や風景を表すことができました。(pf.山田)



春空

電話しようと思ったら、その相手からちょうど電話がかかってきたり、その逆でご無沙汰してる友人に久々に電話したときに「たったいま電話しようと携帯持ったところだった!なんで?」 といった不思議なことが何回か続いた時期がありました。 まあそういう偶然の連続もまれにあるものだ、とは到底思えないタイプの僕は、やっぱり想いというのは空間を越えて相手に届いたりすることもあるものなのでは?などと思い、そんな曲をつくり始めたのです。 しかしその途中で、それはお互いの気持ちあってこそ通じ合うことなのかなあ、とか、本当に逢いたくてしかたがない人のときにそれははたして叶うのかなあ、と思ううちに不安になってきて、そのうち不思議なこともなくなって、気がつけばロクセンチの中でもかなり切ない歌になってしまいました。 でもまだどこかで、もっとつよく想えば本当に届くかもしれない、とも思っているんです。(vo.中原)

もっともシンプルに弾いたピアノに古めかしい音色のパーカッションが懐かしい雰囲気を醸し出しています。フルートは女性的なフレーズを意識して作りました。主人公が探している面影はきっとこんな風かなーと思いつつ。まぁ、間違いなく私よりおしとやかで清楚なイメージですよね。(pf.山田)



にび色の向こう

にび色とは、鈍色、濃い灰色に紺が混ざったような色です。入道雲の色のようなイメージです。光を通さないほどの深い雲でおおわれていても、その先には必ず青い空があるのに、長く続く雨に打たれるうち、ときにそのことを忘れてしまいそうになります。 するとなにもかもがつらくなります。逃げたくて仕方なくなります。 そんなときは、がんばれ、という暖かい励ましさえも暴力に変わったりします。もう、じっと終わるのをただ待っていたい気持ちになります。 それでも、どうしても前に進まなければならないときがあります。 この曲は、自分の背中を押すもの、勇気、覚悟、向き合うこと、それぞれが頭の中ぐるぐるしながら、プロデューサー塚越さんと1年がかりで完成させました。 一歩も動けなくなったとき、僕はこの曲をうたうと思います。(vo.中原)

アレンジャーに中村太知さんをお迎えしました。曲の入り口は楽器でバッシィーン!とインパクトをつけ、歌に入るときには歌詞を大事に、シンプルにするコントラストはさすがです。中村さんはアレンジだけではなく、ギターも弾いてくださいました。その腕前もすばらしく、バンドサウンドが骨太になり、歌のメッセージも一層強く引き出されたと思います。(pf.山田)



幸せになっちゃえよ(Full ver.)

古くからの親友の披露宴にて歌をお願いされたときのこと。本当はもっとコテコテのラブバラードみたいな曲を歌うつもりで準備していたのですが、式の前日の夜中、いよいよ明日かあ、とベッドでぼんやりその友人との思い出を思い返していたら、まるで自分のことのように胸が一杯になってしまって、半ば発作的にギターを握りました。もっと飾らずに今のこの想いをそのまま伝えたいと思いました。 それからほんの数時間後に、このあまりにシンプルで個人的なウエディングソングは生まれました。 ほとんどぶっつけ本番で出来たばかりの「幸せになっちゃえよ」を歌いながら、新郎新婦と一緒に自分まで涙ぐんでしまい、恥ずかしい思いをしたのを憶えています。 発表する予定のなかったこの曲がなんとロクセンチ4枚目のシングルとなって、多くの式、披露宴で歌わせてもらう機会をもらったことはなによりの幸せです。 コード、メロディともにとても簡単なので、祝いの席のスピーチや余興に困ったときはぜひチャレンジしてみてほしいです。贈りたい相手のことを想いながら、ところどころは歌詞さえ自由に変えたりしてもいいかと思います。実はぼくも結婚式で歌うたび、その時の新郎新婦の2人に合わせてちょこちょこと歌詞を変えたりしてるんです。(vo.中原)

一年間、おまっとさんっ。昨年2007年8月のシングル曲です。今回はアルバムバージョン、フルサイズを収録でました。メンバー、スタッフ全員で大騒ぎして歌ったものががすべて、根こそぎ入っています。真夜中、2時過ぎに完全ナチュラルハイになった大の大人達が狭いブースにぎゅうぎゅうになって大声はりあげ…笑。きっと皆さんも聴いているうちに思わずつられて、「しあわっせーにぃなぁっちゃえよーぅ!」と口ずさんでしまうはずです。(pf.山田)


ブラウニー

ショコラブラウニーとはパウンドケーキとチョコレートの中間のような焼き菓子です。マドレーヌやらカレーライスやらに続き、またも食べ物を題材にした曲なのですが、実はこの曲の原型はそれらの曲よりもずっと前につくったものです。 出来たときはこれだ!という手ごたえを感じ、当時何度かライブでやってみたのですが、躍動してるけどゆるい感じ、がなかなかうまく表現できず、しばらく寝かせておこうとライブのセットから長い間外していたのです。 このままお蔵入りかとも思っていたのですが、今回何気なくリアレンジして歌詞を書き足していったところ、思いのほか力が抜けて、つくった当初やりたかったさらっとしたテイストにあっけなく仕上がったのです。寝かせてみるもんだなあと思いました。ロクセンチの表現力が向上したのか、それとも単に僕が昔よりさらにゆるい人間なってしまったことが影響してるのかはわかりませんが、とにもかくにもそういうわけで制作期間足かけ5年(うちお休み4年)でめでたく完成という非常に珍しい曲です。 なんだか心が晴れないとき、試しにパッパッパ パラッパーの部分一緒にうたってみてください。すうっとココロゆるくなります。なるといいなあ。(vo.中原)

コーラスが決め手!ゲストコーラスに3人も呼んでしまいました。贅沢だー。 このコーラスのメロディーは正確にとろうとするとこれが案外難しく、ライブでも緊張する箇所のひとつでした。ゲストで来てくださったmogmocoのお二人、磯辺氏も最初は少々てこずりながらも、さすがコツを掴むのが早く、ニュアンスから厚みまでイメージ通り、素敵なコーラスが出来上がりました。我々の細かい要望にイヤな顔をひとつ見せず、一所懸命に歌ってくれた3人のあったかい心がこの曲をふくよかにしてくれました。(pf.山田)
>

おはよう

眠れぬ夜をそのまま悩み続けてしまい、すっかり心の余裕を失っていたときに、遮光カーテンの隙間からもれてきた朝の光はどこまでも圧倒的で、一睡もできなかった僕にも穏やかにおはようと言ってくれているようでした。 悩んでいたことがそれで解決したわけではもちろんないけれど、それでも新しい1日はちゃんと迎えてくれるんだなあと思えたら、とても楽になれて、そのまま朝の光に包まれて穏やかに眠ることができました。
そういうわけでおそらく「おはよう」という名のつく歌史上もっとも眠たくなりそうな、むしろ「おやすみ」であろうこの曲は、どちらかというと寝る前に聴いてもらったほうがよいのではないかと思うのです。(vo.中原)

ライブでは中原さんがひとりでギター弾き語りをしていた曲。これにピアノをどう入れるか考え、考え、考え抜いた結果、「人差し指1本打法」に行き着きました。これが思いのほか、楽しく演奏できて透明感のある音が出せたと思います。人間いろいろやってみるべきですね。(pf.山田)


★アルバムのご感想や、この特設ページを御覧になった感想をお寄せ下さい。こちらから→info@6-cm.com

Copyright (C) 2007 rock-senti all rights reserved.