ロクセンチ
セルフライナーノーツ セルフライナーノーツ中原明彦 セルフライナーノーツ山田貴子 セルフライナーノーツ安田司 全曲ライナーノーツ レコーディング風景

rainbow story
ロクセンチ 1st Album「rainbow story」07.01.24 Release
収録曲


セルフライナーノーツ

中原 明彦
「rainbow story」はロクセンチの感情が色とりどりに並んだ1st Albumです。/中原明彦

東京から大阪へ向かう車中、土砂降りの通り雨が降ったことがありました。

ア ルバムの制作は当時大詰めを迎えていました。 ぼくは機材車の一番後ろの席で、一向に仕上がる気配を見せない歌詞との格闘に いい加減うんざりしていました。 そこに突然、エンジン音をもかき消すかのようなざあという音。

音のある静寂。そして雨はものの三分で、火をつけた煙草をまだ吸い終える前に、いとも呆気なくあがりました。 広がっていく雲の切れ間からみるみるうちに新しい日が差し込んできました。 お昼過ぎだというのに朝日のようにまぶしい光でした。 次の瞬間、高速道路から北の方角、東へと流れていく山々の隙間にそれは現れました。

大きな大きな虹でした。生まれて初めてみるサイズでした。

ぼんやりとしていて、しかし伸び伸びと鮮やかな美しい色彩に、ぼくはしばらくの間ただ目を奪われていました。 そして眺めているうちに、もしかしたら子供のころにも、自分はこれくらいの虹を見たことがあったような気がしました。それは授業中の窓からの虹だったかもしれないし、単にもっと昔に読んだ本の挿し絵の虹だったのかもしれません。 いずれにしても、いつの間にかぼくはその虹を忘れてしまっていたんだな、と思いました。

ほどなく虹は山の奥の方へと消えていきました。儚いひとときでした。

すぐさまそこで歌詞がどくどくと湧いて完成してきたのかというと、 残念ながらそう上手くはいかずぼくは、その後ももんもんと言葉に悩み続けたのでした。でもその時に自分たちがつくっているアルバムがなんなのか、うっすらとわかったような気がしました。

大阪まではあとちょうど半分くらいでした。

誰もが日常のなかで
時に頑張ろうと思ったり
時に怠けようと思ったり 迷ったり
人を好きになったり
相手を愛おしいと思ったり
失恋したり

他にもたくさんいろんな感情を持つと思います。

決して明るい色ばかりではないけれど、それらの感情が並びあってはじめて人それぞれの虹が出来上がっていくのではないかと思います。

「rainbow story」はロクセンチの感情が色とりどりに並んだ1st Albumです。

あのときに見た虹のように、聴いてくれた人の心にいつまでも鮮やかに残るアルバムになればいいなあと思います。

制作には多くの方々にお世話になりました。

一曲一曲に感謝の気持ちを込めて。



山田 貴子
ちょっと気を許すとぐっと感情を揺さぶられたりとこれは初めての経験だった。/山田貴子

自分たちの作ったCDは、特に出来上がってまもなくの頃なんてのは冷静に聴くことができないものだったりする。でもこのアルバムはマスタリングして次の日からもうすぐに楽しみながら新鮮に聴くことができた。 なぜなら、レコーディングの最中に自分が想像していたそれぞれの楽曲が持つ世界観をゆうに飛び超えて今私自身に訴えかけてくるからだ。聴きながら曲の新たな一面を発見したり、ちょっと気を許すとぐっと感情を揺さぶられたりとこれは初めての経験だった。

…いや、予感はあったかもしれない。ひとつひとつの楽曲を色とりどりに表現するためにアレンジは勿論、音色やミックスバランスにはかなりこだわり、中には一回録音したものに納得がいかず、後日録り直した曲もあった。メンバー、その他サポートベース山川さんやプロデューサー塚越さん含めてたくさんの人々の耳で判断されながら、意見を求めながら出来上がったわけだから当然だ。その時々のみんなの意志が今あらめて聴きながらくっきりと形になっているのがわかる。

とてもいいアルバムになった。なんとなくいいのではなく、演奏者としてなぜいいのかがわかるのだ。おそらくこれから聴いてくれる皆さんにも、今のロクセンチチームの意志はなんとなく伝わると思う。そう、なんとなくいいねって伝わる。なぜいいかは我々だけが知っていて、この次にもっといいロクセンチのアルバムを作ることができるのだ。



安田 司
自分にはなかった発想が色々と足されて、実りの多い作品になりました。/安田司

やってる時はいつもそうですがロックでセンチメンタルなロクセンチにおいて、「ロック」な部分を強く意識しますね。切ないモノをセンチメンタルなまま整えるのではなく、少しお行儀の悪い色を足していく。自分で思うロック色ってやつ。スネアの音であったり、フィールであったりね。

色々なタイプの曲が揃いましたが、 どの曲も自分が歪んだエレキギターにまみれていた頃と、何も変わらないフィールで叩いてます。曲そのもののポテンシャルが高いと、そういった攻撃に曲が耐えてくれるんです。これがロクセンチの特徴の一つだと思います。

それと僕はバンドマンなので、「その人がそこで叩いてる」と言う感触を残したかった。なのでパンチインみたいな補正はほとんどしていないです。差し支えのない間違いならそのままを作品にしています。あまりアタマでは決め込まずにスタジオに入って、その時のフィールでフレーズを考えて録音したり、わざとクリックを使わなかった曲もあるし、「人が演奏している」ライブ感を楽しんでもらえたらと思ってます。

フレーズって「数を増やしてしまうと消える感じ」ってありますから、極力シンプルにいこうってのは常にあります。楽器も多くは叩き分けていません。アレンジの段階から山川さん参加してもらい、色々なリクエストを出してくれますから、それに答えていく作業もチャレンジングで楽しかった。

一人で考えていたら手前味噌になってしまう事もありますし、自分にはなかった発想が色々と足されて、実りの多い作品になりました。



全曲ライナーノーツ

rainbow life

無理矢理訳すと「虹色の生活」とでもなるでしょうか。「虹色の生活」って言葉から想像する日常。なんだか過剰にハッピーなイメージがあります。その原色感につくられたもの特有の違和感を感じます。 そう思うと 「虹色の生活なんてつまらない!」 と言いたくなってしまいます。「いいことも悪いことも、いろいろあるから人生は楽しい。」 とさらに付け加えたくなります。さも人生をわかっているかのように。でもよくよく考えてみると、全然違いました。わかってませんでした。 ハッピーなだけでは毎日は虹色になるはずがないんです。幸せばかりではせいぜい暖色系にまとまったぼんやりしたコントラスト止まり。 それはレインボーとは違う。 いいことと悪いことが並びあうことによって、初めて日々の色彩が豊かになるんです。

時に出会ってしまう悲しい思いやつらい思いも 「rainbow life」をつくる大切な一色一色なんだと思います。そして、この曲はこのアルバムの歌たちのことをうたった歌でもあります。 シンプルな構成と歌詞の「ひゅるりるらる…」がとても気に入っています。
(ボーカル:中原)


マドレーヌ


出来上がったばかりの曲をうたってみて、その歌に自分自身が反応してしまい思わず泣いてしまう。そして自分が泣いていることに作品の最初の手ごたえを感じて、泣きながらにやにや喜ぶ。傍から見るとおそらく相当エキセントリックであろう経験をしたことが僕にも何度かあります。もちろんそのまま手ごたえが自己満足に終わってしまいお蔵入りとなるケースも往々にしてあるのですが、自分で泣いてしまえるということが作品の出来を計る上でのバロメーターのひとつになっているような気がします。

さて、この「マドレーヌ」の場合はどうだったかというと、なんとひどいことに完成もしていないうちから泣いてました。歌い出しから順に歌詞を書いていったところ、ちょうど一番のサビのあたり。口ずさんで歌詞とメロディーのはまり具合を確認しながら、我慢できずじんわりきてしまいました。幸いなことに深夜のFIVE-D STUDIOには僕ひとりだったので、皆に気味悪がられることもなくそのまま一晩で無事完成。その後、お蔵入りとなるどころか僕たちのデビューシングルにまでなりました。タイトルになっているマドレーヌ、実際に手づくりをもらったことがあります。大ぶりでレモン汁が効きすぎていてあまりおいしくなかったけれど、でも、とてもうれしかった憶えがあります。
(ボーカル:中原)


友達じゃないから

ドラム、ベース、ピアノのベーシックトラックはクリックを使わずに録音したせいか、歌にもっとも寄り添うことができ、 ロクセンチらしい独特のグルーヴを出すことができた。 そしてこの曲は歌の主人公の心の動きを楽器でこまかく表現しているところも聴き所だ。 唯一、エレキギターが入っていたり、カスタネットがいたり、その他にもふんだんに様々な楽器が入っている。それぞれがおもしろおかしく、ある意味情けない男の感情を小気味よく表現していると思う。(ピアノ:山田)


えらい人になってしまおう

僕は昔も今も相変わらずこの歌のとおり、ギリギリになってからなおエンジンのかからない人間のようです。高校時代の友達同士でバンドを結成し卒業後も活動していく、というのはまま聞くケースだと思います。僕も高校時代組んだバンドをその後1,2年ほど続けました。ただ大学や就職など環境が変わっていく中で活動を維持していくのはやはりなかなか難しいようです。

当然ロクセンチのメンバーは高校の同級生ではなく、二人ともソロで活動している時に出会うことのできたミュージシャンです。しかし卒業後軽く10年以上経ってから、同じクラスの斜め前に座っていた友人と 一緒にアルバムをつくることになるというのはなかなかまれなケースだと思います。 その友人はミュージシャンではなく、立派なフリーのレコーディングエンジニアになっていました。今回のアルバムのほとんどを録音、MIXしてもらっています。 その彼はこの曲が一番のお気に入りだそうです。 理由は「高校ん時となんら変わっていない性格がよく出てて面白い曲だから」だそうです。 変わったのは期末テスト前の勉強が曲づくりになったことくらいでしょうか。
(ボーカル:中原)


レイトショーを観にいこう

随分前から長い事演奏してきた曲で、僕らの代表曲。 インディーズ時代にもレコーディングした事あるんですね。今回はそれを熟成させる様なレコーディングになり、 良いと思ってたモノをさらに練り直す作業は大変だけど楽しかったな。(ドラム:安田)


飼い猫デイジー

ロクセンチはどのようないきさつで結成されたのですか? という質問をラジオや雑誌の取材でされることが多いです。 おそらく定番の質問なのだろうと思います。でも、そのたびに困りました。ロクセンチとなってからは2年ほどですが、ピアノの山田もドラムのつーちゃんも僕がソロで活動していたときからの長い付き合いのメンバーです。紹介されてそれぞれ知り合い、じわじわとソロからバンド化していきました。このじわじわとバンド化、というところがポイントで、つまりさしたるバンド化に至る一大エピソードのようなものがなく、いまいち話の盛り上がりに欠けたのです。

でもやっと、この曲を聴いてもらえるようになったのでこの話ができます。ロクセンチというバンドをスタートさせたいなあと思ったのはこの曲がきっかけです。つくった曲をはじめてアレンジするときは、シンガーソングライターのそれよろしく、まず僕がギターで弾き語ってうたってみせます。そしてそれぞれの感じたファーストインプレッションをそのままにセッションしてみます。その後徐々にイメージを融合させながら曲を煮込んでいくのですが 実はひとりで曲をつくっている最中にも自分の頭の中にアレンジのイメージがどんどん出来ていきます。

ソロ時代、スタジオではその自分のイメージを伝えることがなにより大切だと思っていました。まるでひとりで音楽をやっているような気にでもなっていたのだろうと思います。そんな当時できたこの「飼い猫デイジー」は、自分の中にある苛立ちや疑問が溢れだして 思うまま一気に最後まで書きなぐった歌でした。だったからなのか自分でまったく整理がつかず、 アレンジはおろか人に聴いてもらうこと自体のイメージもできてませんでした。それでもとにかくスタジオに持っていき、メンバーの前でとりあえず弾き語ってみたのです。

すると次の瞬間。つたない足取りで子猫が歩くピアノのイントロからヘビーな現実を突き刺すドラムが冴えるサビまで今回収録されているアレンジのほぼすべてが、あっという間、ほんの数回のセッションの内に魔法のように出来上がっていきました。その時はじめて自分がこの曲でどういうことをうたいたかったのかがわかりました。ああバンドだ、と強く思いました。そんなわけでその後ほどなくじわじわとロクセンチは結成されたのです。 あのときの高揚感は忘れられません。
(ボーカル:中原)


渋谷love

以前はもっとタイトに演奏してた曲なんですが、 荒削りなフィールを大胆に入れてみてロックなテイクになってましたね。「鳴れるだけ鳴ってみろ」って感じでスネアもオープンに鳴らしてます。 こう言う「楽器が鳴っている感じ」はアルバムを通して意識しました。(ドラム:安田)


明日の見える場所

このフィールを出すのも難しかった。 ロック畑のせいで「ノリ出すと後ろにいく」クセみたいなのが邪魔をしまして(笑)。軽くならずに前進んでいく感じと、 適当に暴れておくバランスが出るまでは苦労しました。(ドラム:安田)


降られ男

恋人にふられる経験は誰しもあるもの。だれにでもあるブルーな感情を、これまたどこにでもあるようなブルース風味で演奏してしまうのが潔くて妙に気に入っている。(ピアノ:山田)


きみんちにいく

え・・っと。何も叩いてません。 けど自分の家でアルバム聴く時は、コレが一番落ち着くんですよ。
だって叩いてないから何があろうと人ごとで済むし(笑)。(ドラム:安田)


夕凪オレンジ


今回収録されている楽曲のいくつかに本間昭光さんにお願いしてストリングスアレンジを入れた。中でも最も山田の一番お気に入りストリングスアレンジはズバリこの曲。 短編小説のような詞世界を清清しいイメージのまま、情感広く溢れ出させるストリングスアレンジは圧倒された。 完全に余談だが、山田は初めてこのストリングスを聴いた時に学生時代に読んだ川端康成の「伊豆の踊り子」を思い出した…。ともかく、バンドアレンジをする上でも、すごく勉強になった一曲だ。(ピアノ:山田)


my life your life

はずかしいくらいの切ない歌にはガッツリとしたアレンジがロクセンチ流だ。歌詞がうつむいている時には演奏は応援するように、前を向いている時には背中を押すように。やはり、ロクセンチの音楽は歌詞の世界と演奏がびたっといい関係にあることがベストだと思うし、そこはこれからもかなりこだわっていくことになるだろう。(ピアノ:山田)


ビオラ

「明日」とか「希望」とか「夢」とか。 そういう言葉に強い疑いを持っていた頃がありました。 日常は粛々と降り止まぬ雨のようにシビアで 面を上げずに淡々と日々を歩かないと、すぐ現実にびしょぬれになってしまう。 疑いを持つことによってなんとか自分を守ろうとしていたんだと思います。 ある寒い冬の日、道端にひっそりと咲いている花に目が留まりました。 パンジーにしては小ぶりで、淡い色彩。ともすると気がつかずに通り過ぎてしまったであろうその花は雨粒に揺られながら、しかし花びらを精一杯広げて凛と咲いていました。

気がつくとその花から目が離せなくなっていました。 無防備になってしまうことを恐れ、 閉じて隠すことばかりを考えている自分。 前を向くこと自体を茶化し始めていた自分。 そんな自分をひどく薄っぺらく感じました。 この名も知らぬ花のように自分も強くありたい、と思いました。 その日の夜、この歌はできました。

気の利いた言葉ではなくて、無防備でも思いそのものを。「明日」や「希望」や「夢」から逃げずに。花の名前を知ったとき、真っ先に同じ名前の弦楽器が思い浮かびました。 曲中でも力強いストリングスが歌とともに思いを伝えてくれています。無垢でいることのできた幼い頃の自分とは違い、一度浮かんできた疑いの思いが完全に晴れることはないのかもしれません。でも、もしも誰かが日常に面を下げて道端を歩くようなことがあったら その時この曲がそばにいれたら、と思います。あの日僕が見たビオラのように。(ボーカル:中原)


★後日、ロクセンチHP内ブログにて、メンバーの各曲のライナーノーツを御覧頂けるようになります。



レコーディング風景

THE BOOM 山川さんとロクセンチメンバー。
安田司、真剣な眼差し。
山田貴子も真剣に作業中。
プロデューサーは…  
ふざけながらも真剣に作業しているのです。。
中原明彦、ブースにこもり録音中。
山川浩正氏、安田司のリズム隊コンビ。
パーカッション録音中。
ストリングスを入れた事で、
曲が更に豊かさを持ちました。
プロデューサー塚越隆史氏と中原明彦。
“半袖の時期”からレコーディングは行なわれていました。
山田貴子とピアノ絵になる!!
しかし、熱中すると立て膝ついたり、、
とこんなになってしまいます(汗)
悩む二人   …風の安田司。
安田司の貴重なアコースティックギター姿と、
東京60WATTSギターの佃太郎。
“顔で弾きすぎ”であります。
2006年11月9日、長かったレコーディングもやっと終了!
気付けば上着を羽織る季節でした。


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